第4章 探し物
私がそう問いながらその花を受け取るとフウは返事をするように静かに一声鳴いた。
フウは言葉に出来ないものの、私の事をずっと心配していたようだ。
最近私の様子がおかしいのも元気がない事も。
フウは私がこの花が大好きな事を知っている。
だから私の事を心配して元気を出してもらおうと朝からこの花を探しに行っていたのだろう。
「フウ…。私のために探してきてくれたんだね。ありがとう、元気出てきたよ。」
私がそう言うとフウは頭を擦り寄らせた。
私はぎゅっとフウを抱き締めた。
家へ入り花瓶に花を飾ったあと、2人で昼食を済ませた。
フウは朝から出かけて疲れたのか昼寝をしている。
私はフウがくれた白い花の香りを感じながらハーブティーを飲んだ。
その時ふと考えた。
”相手の好きなものをプレゼントする”
私がフウから花を受け取った時、純粋に心から嬉しかった。
それなら私もトランクスの好きなものをプレゼントしたらどうだろうか。
きっと喜んでくれるのではないだろうか。
そう考えたが、
「でも…トランクスさんの好きなものってなんだろう。」
色々な話はしたが好きなものに関しての話はしていなかった。
「クッキーを喜んでくれたから甘いお菓子とか?んーでも私もタルトケーキ貰っちゃったからお菓子ばかりっていうのも…。あ、そういえば…。」
私はトランクスがこの森に”ドラゴンボール”を探しに来たと言っていたのを思い出した。
好きなものとは違うかもしれないが、トランクスが求めているものには変わりない。
「私の方が森に詳しいんだし、探してみよう!色んな動物さん達に聞いたら何か知ってる子がいるかも知れない。」
そう思い立ちその”ドラゴンボール”というものを探しに行く決意をし、支度を始めた。
もしかしたら帰るのが遅くなるかもと、フウの夕食は準備しておいた。
私は胸に月のワンポイントが入った黒のローブを着る。
お気に入りの外出用のローブだ。