第3章 病名
”特定の異性を思う度に胸の圧迫感や動悸、発熱に似た顔の火照りを感じる等の症状を生じる”
「これだ!」
やっと見つけた症状の思い当たるページの病名を見る。
”恋の病”
私はハッと息を飲んだ。
恋の病…これは…恋なのか?
私はトランクスに出会ってすぐにこの症状を感じた。
つまり一目惚れということなのか。
「え…私が…恋!?」
初めての経験だった。
初めての恋…。
私は思わぬ病名に混乱してしまった。
「でも…これが恋の病だとしたら、どうすれば治るの?」
そうだ。
病なら治療法は必ずあるはずだ。
私はページを読み進める。
”治療法 その異性との恋愛を実らせる。実らせるということは互いに愛し合うこと。そうする事により胸の圧迫感はときめきに変わり2人に幸福をもたらすであろう。”
実らせるとは、つまり恋人同士になるという事だ。
生まれてから恋する感情を経験していない私にとって恋愛を実らせるだなんて全くの未知の世界だ。
「み…みみみ実らせるって!いきなり言われても…。」
私は恋愛を実らせる治療を探したが魔法医療の書はこれ以外恋に関する内容はなかった。
「そんな〜。どうしていいかわかんないじゃない。」
トランクスと恋人同士。
考えただけで顔から火が出そうだ。
ましてや、私の一方的な思いだ。
トランクスは私の事をどう思っているかなんて分かるはずもない。
そう思うとまた胸を締め付ける。
「これが恋…か。」
不思議な気分だった。
こんなに苦しいのにトランクスの笑顔を思い出すだけで何故か気持ちが暖かい。
でもまた更に苦しくなる。
症状、治療法は分かっても実行が難しい。
本を閉じ溜息をついた。
窓の外を見つめ途方に暮れた。
「…とりあえず…もう寝よう。」
私は静かにベッドへ戻り無理矢理に目を閉じ胸の高鳴りを抑えようとした。