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【刀剣乱舞】それは、確かに恋でした

第1章 崩れる、音がする


「これより、審神者任命の義を始めます。近侍である姫鶴一文字、前へ出なさい」
「――はい」

鶴丸が後ろに控える中、僕は前に進み出る。
そして、虚ろな表情の優大様の腕を取る。
すると、温かい光が僕の体に流れ込んでくる。

「姫鶴一文字、後は頼みましたよ」
「――はい、奥様」

僕の仕事は、審神者の霊力を全員に供給すること。
具体的にどうするか、というと僕の式神を使って霊力を飛ばすんだ。
具体化させなくても簡単にできるから、主が僕の鍛刀に成功してから、一気にこの本丸を動かせる難易度が下がったって聞いた。

なのに、大成功を収めた英雄はもう死んだ。
まだ、僕の兄弟だって出来てない。
山姥切長義だって、完成間近だったのに……。

「主の部屋の掃除は終わった。新しい主をお連れするぞ」
「――うん」

いつも元気な優大様が、一言も喋らない。
両親なんて、優大様を置いてさっさと出て行ってしまった。
――これから、外の世界で葬式の準備をするんだろう。
奥様も息子も目の下にクマができていた。
きっと、一睡もできないんだ。

「姫、とりあえず今日一日主の側にいてやれ。俺も、できるだけ付き合うさ」
「――うん、ありがと」

幼い優大様は、思い出のいっぱい詰まったあの部屋に居て大丈夫なんだろうか?
大好きなお爺ちゃんだったのに……。
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