第1章 崩れる、音がする
「姫、起きたか?」
僕が、短刀ちゃんたちを見ながらぼーっとしてた時だった。
不意に声をかけられる。
「――鶴丸。さっきは、ありがと」
「気にすんな。それより、落ち着いたか?」
「うん、おかげさまで」
でも、心の整理はまだ出来てない。
主が死んだっていうのも、なんか実感できないし。
「きついのもわかるが……、新しい主のお呼びだ」
「――うん」
僕らは刀剣。
誰か主が常に霊力をくれないと、その存在を維持できないんだ。
頭ではわかってるよ?
僕らが消えちゃえば、写し皆消えちゃうことだって、わかってる。
――でもさ、主は今の主だけでいい。
新しい主なんて、いらないよ。
あんないい人の代わりなんて……。
「姫……、泣き止めって。お前は、主の近侍だろ?」
「ぐすっ……。わかってる……」
「なら、頑張るしか無い」
頭ではわかってるけど、心がついていかないよ。
主、主。
もう一度、主に会いたいよ。