第1章 特等席 *ルフィ*
「はぁ。」
甲板にでて芝生の上に寝転がった。
涙が止まらなかった。
顔を両手で覆うと目の前が闇で包まれた。
怖い。
もしかしたら今の、この楽しい毎日が夢だったのかもしれない。
そう思うと手をどけることができなかった。
「なーにしてんだよ?」
すると突然暗闇から声がした。
あぁ、暖かい声。
私にとっては希望の光だった。
ゆっくり手をどけるとそこにはあの忌まわしい天竜人ではなく
「ルフィさん……。」
彼がいた。
あたしは急いで涙を拭き起き上がった。
「ちょっと目が覚めてしまって。」
迷惑はかけられない、そう思い笑顔をつくった。
なるべる心情を悟られないように。
「でも、もう眠くなってきたので戻ります。おやすみなさい。」
なるべる顔を見られないように立ち上がりルフィに背を向け歩き出した。
けれど、なにかに引っ張られて前に進めない。
振り向いてみるとルフィがあたしの手を掴んでいた。
「ルフィさん?」
声をかけるも俯いたままで応答がない。
訳がわからず立ち尽くしているとルフィが急に立ち上がりちょっと来い、とあたしの手を引っ張り走りだした。
「え!?ちょっ!」
頭が混乱したままついていくと船首まで来ていた。
「ちょ、ルフィさん。はぁはぁ。どうしたんですか?」
軽く息切れしながら話かけるとルフィはひょいっと飛び、船首についているライオンちゃんの上に乗った。
首をかしげ頭の上にはてなマークを浮かべていると
「お前もこっちこいよ。」
と笑いながら振り向いた。
あたしは驚いた。
だって、あんなに独占してたのに。
この前だって
ウソップさんとフランキーさんが乗ろうとしていたら「俺の特等席は誰にも譲らん!」なんていって怒ってたのに。
「いいんですか?」
恐る恐る聞いてみると彼はニッと笑って手を伸ばして、あたしを自分のもとへと引き寄せた。