第1章 特等席 *ルフィ*
「ルフィ!お前また冷蔵庫漁っただろっ!何度言やぁわかるんだ!!」
今日も朝から賑やかな1日が始まる。
サンジさんの怒声で目が覚めた。何事かと思い甲板にでると、サンジさんがなべを持ってルフィさんを追いかけ回していた。
そんな面白い毎日に笑いが止まらない。
私はある事情からこの船に乗っている。
それは、あのシャンボディ諸島でのこと。
例の事件のとき、私はヒューマンオークションでちょうど買われたときだった。
買った主人が海賊に殺られ、私は1人で逃げ惑っていたらパシフィスタというロボットに遭遇してしまったところをルフィさんに助けられた。
それから2年間、九蛇で彼らを待ち続け今にいたる。
こんなあたしでもみんな快く迎え入れてくれた。
涙がでるほどうれしかった。
2年前の絶望感とは180度世界が変わった気がした。
ただ
『おいらと一緒にくるじょ。可愛がってやるじょ〜。』
『い、いやぁぁぁぁぁ!!ーーーー
あぁぁぁ!っ!
はぁ、はぁ。……またあの夢………。」
この船に乗ってからよく見る夢。
あの時、買われたときの天竜人のいやらしい顔、手つき
怖くて怖くてたまらなかった。
その恐怖は今となっても消えない。
むしろこの夢を見るようになってから強くなってきている。
毎日楽しいはずなのに、幸せなはずなのに
不安が、恐怖が消えない。
あたしはみんなを起こさないように静かに女子部屋から出た。