第1章 特等席 *ルフィ*
それから彼は私を座らせ後ろから抱きしめるように座った。
「!!ルフィさん!?どうしたんですか?なんかいつもとちが「なぁ。」は、い。」
いつもの声のトーンより低く、真剣味が伝わってきて思わず言葉を詰まらせた。
「お前、なんでそんな苦しんでるんだ?」
「え?」
突然のことで聞き返してしまった。
すると彼はすっと立ち上がり
彼の麦わら帽子をあたしの頭にポスッとのせた。
驚いて振り向くと彼はニッと笑った。
「お前は俺達の仲間だっ!!」
「!!」
「お前はもう1人じゃない。俺達が、俺がいる!悪い奴らなんかは全部ぶっ飛ばしてやる!だから…」
と言いかけてスッとしゃがみ頭をポンッと撫でられた。
「もう安心しろ。」
「ル、フィ…さん。」
涙が止まらなかった。
どうしてあたしの欲しかった言葉がわかったの?
顔が涙でぐしゃぐしゃになってしまったあたしを見て彼はしししっ、と笑って優しく抱きしめてくれた。
「う、わぁぁぁぁぁぁん!」
あたしのなかのすべてが崩れ彼の腕の中で子供のように泣きじゃくった。
「ねぇルフィさん。」
朝日が昇ってくる時間なのか、空が明るくなってきたころようやく落ち着いて彼に話かけた。
なんだ?と言って手の平であたしの涙を拭いてくれた。
「どうしてここに連れて来てくれたんですか?ここだれにも譲らなかったのに。」
さっき思った疑問を問いかけると
「お前は特別だからなっ。」
と言ってまたしししっ、と笑った。
それがどういう意味なのかはお互いまだ知らない。
それからあたしはその夢を見なくなった。