第1章 短編集1
「ッ・・・!い、いや!」
ドタドタと大きい音をたてて葉子が城から出て行った。
追いかけたいけれど、余計な気持ちが邪魔してそれができない。
「ハウルさん、追いかけたらどうですか?」
「・・・・・・」
意地っ張りだってことは自分でもわかってる。
でも。時々僕ばっかり葉子のことが好きで、好きすぎて、
葉子にとっては重すぎるかもしれないと思うときがある。
確かに葉子は僕のことを好きだっていってくれた。
初めの頃はそれだけで嬉しくて嬉しくて、心がいっぱいだった。
でも、歳月が過ぎていくうちに、どんどん欲張りになっていく
自分がいて、不安になって・・・
葉子が僕を起こしに来てくれた時、キスがしたいと思った。
いや、本当はもっと前からそう思っていたんだ。
でも、は葉子嫌だったみたいで、思い切り拒絶されてしまった。
「もう生きていけない・・・」
だめだ・・・葉子に嫌われたら・・・もう・・・
どろどろとした緑色のネバネバが体を覆っていく。
ああ、僕はもうお終いだ・・・
「ハウルさん、結果を出すのはまだ早いんじゃないですか?」
「・・・・・・」
「葉子、ハウルさんのこと、好きだと思います」
「どうして・・・」
「ハウルさんのことを話すときの葉子を見てるとわかるんです。」
「え・・・」
「幸せそうな顔して話すからこっちまで幸せになりますよ」
「・・・マルクル!葉子はダイアル何色だったかわかるか?!」
「確か、赤だったと思いますよ」
「ありがとう!」
急いで城からでて花畑にでると
見えてくる小屋のそばで
しゃがんで池を眺めている千捺がみえた。
「葉子・・・!」
「・・・ハウル」
「ごめん葉子。僕、葉子の気持ち考えてなかった。」
「こっちこそ、嫌がってごめん。突然だったから、その、驚いちゃって・・・」
「これからは、いいって言ってくれるまで待つから。」
わかったんだ。
もう、焦らないで。遅くたって、自分達のペースでいけばいい。
僕たちはこんなにも想いあっているのだから。
「いいよ」
「え?」
「だから、心の準備、できたから・・・」
君にひとつ、キスを落とした。
「ハウル大好き」
「僕もだよ」
もう、離してやらない