第1章 短編集1
「ほら、マルクル、じっとしててね。もうちょっとで終わるから」
「はーい」
普段と変わらない朝。
いつものようにマルクルの髪をとかす。
ああ、今日もいい天気だな。なにかいいことありそう。
マルクルの髪をとかしていると、上から階段を下りる音がしてきた。
ハウルかな?
「あ、ハウルおはよう。めずらしい、今日は早いんだね」
「ハウルさんおはようございます」
「おはよう、今日はサリマン先生のところに行く予定があるんだ。」
「そうなの。マルクルの髪とかし終わったら朝食の支度するからちょっとまっててね。」
「・・・わかった」
「はい、終わったよマルクル」
「ありがとう。」
「ん」
よし、じゃあはりきって朝食を作りますか!
バスケットの中にはパン、卵、ベーコン・・・あ、チーズもある。
その時、あたしは異変に気づいた。
「・・・・ハウル、怒ってるの?」
「別に」
「・・・・・・」
「ねぇ、」
「ん?」
「いつも朝、マルクルの髪とかしているの?」
「うん、そうだよ。それがどうかしたの?」
「別に」
あたしは知ってるんだ。ハウルはいつも機嫌が悪いときに「別に」
って言うことを。
だから今だって怒ってるんだ。
(なにに怒ってるんだろう?)
ふとハウルを見てみるとむすっとしながらさっきまでマルクルの髪をとかしていたブラシを手に取っていた。
(もしかして・・・やきもち?)
「ねぇ、ハウル」
「なに?」
「ハウルの髪、とかしてもいい?」
その時にハウルが見せた笑顔は無邪気な子供のように
飾ってなくて、でもとても綺麗で。
愛されてるな、って感じるんだよ
「これから毎朝やってくれる?」
「ハウルが早起きすれば、ね」
「頑張るよ」
「ん」
毎日の楽しみがまたひとつ増えた。
今日もいい日になりますように