第1章 悲しいっていうか、 :橘真琴 切甘
「…じゃあ名残惜しいけどそろそろ帰ろっか?どうせなつみ荷造りまだなんだろ?手伝うよ」
『荷造り位自分でできるよ!子供じゃあるまい』
「段ボール。部屋から下ろすの大変だろ?」
『ぁあ!…まぁそれは大変だ』
「えぇ!?なっちゃんもう行っちゃうの!?」
『荷物だけ先送るの!こっちからじゃ送るのにも時間かかるし』
「そっかぁ…」
私は岩鳶をでる。
夢があるとかそんな大層なものじゃないけど、ただ……
岩鳶で産まれて一生を岩鳶で終えるのはどうかと思ったから東京の大学を受験した。
ただ…それだけ。
「じゃ、帰ろっか。ハル、なつみ行くよ」
「わぁあーー!えっと、えっとぉハルちゃんは僕たちと用事があって…」
「そ、そうです!だから今日は真琴先輩となつみ先輩2人っきりで帰ってください!」
「え?用事?そうなの、ハル」
「……いや、別n「遙先輩!昨日約束したじゃないですか!ほ、ほらぁお兄ちゃんと…えっと…ね!?」
「凛と?」
…気を、使ってる?
クスッまったくいい後輩を持ったもんだね。
『真琴、帰ろ?』
「え?あ、うん。でもハルが…」
『いーから、ほら!』
真琴の大きな背中を押してプールを出る。
みんなに《ありがと》って口パクで伝えたけどわかったかな?