第18章 悲劇
「本物じゃなくてよかったって…なんで?」
するとユリアさんは苦々しい顔でこう言いました
「お兄ちゃんは…二年前にお父さんを包丁で刺して逃げたんです!」
「「!?」」
信じられない言葉でした
あの優しいお兄様が…!
「う…嘘…ですよね?お兄様が…そんなこと…」
「本当です!お兄ちゃん…ずっとお父さんに監視されていて…自由を奪われていたから…だからお父さんを強く恨んでいたと思います…」
「自由を奪われた?」
「監視されていた?」
あの人が…そんなことを?
Nも私も突然の出来事に驚きを隠せずにいました
「お兄様のこと聞かせてくれませんか?」
「ツグミ…」
お兄様に…何があったのか知りたいです
「…いいですよ。立ち話じゃなんですから私の家にご案内します」
そう言ってユリアさんは私からミミロルを受け取り、お家まで連れてってくれました
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「大きいね…」
「ええ…」
Nの城程ではありませんがユリアさんの家は大きいです!
ソファに座るよう促され私とNは横の二つに、ユリアさんは向かい側のソファに座りました
「お兄ちゃんは…お父さんの病院を継ぐ為に養子になりました」
ユリアさんは深刻な声で私達に話してくれました…
ユリアさんのお父さん… お兄様の義父は病院を継ぐ為に家庭教師を雇い、幼いお兄様を毎日机に向かわせ、勉強させていました
遊ぶことも部屋を自由に出ることも義父の許可がないとできず、ただひたすら家でも塾でも勉強させられ
点数が100点でないと罵声を浴びられ、叩かれたり蹴られたりしていた…なんて酷い…