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ボツ小説集

第1章 Oxymoron(東京喰種/相手無)


画面横にはオフィスアプリが開いており、「母乳の味=人間で言う青汁の味」と先ほどの会話のメモが書かれている。けれど、それを押しのけるように画面上をあるサイトが占めていた。それは金木の手に持っている黄色いパンフレットにも載っている、あの母乳バンクのサイトの登録画面であった。

「この母乳バンク、さっき話した私の友人が経営してるの。私はそのサイトのプログラマー兼Webデザイナー。あと、たまに今みたいに母乳を欲しがっている人の面接を手伝っているわ」

得意げに彼女は言った。

「母乳の提供は最寄りの病院で手続きが出来るようにしているけど、受け取る側は面接が必須。ネットって怖い物でね、いつハッキングされて情報が漏洩するか分からない。グールの個人情報が漏れれば、そのグール達は人間に襲われる。だからこうして実際に会ってから登録ページを記入させているの。特に重要なのは『認証コード』を入れる項目。そこに担当者である私がある番号を入力すれば、登録者が人間かグールか同業者には識別可能になる。表向きは乳児に母乳を与えたい母親だと装って、登録後に家に届くのは栄養ドリンクを装った母乳。……色々と凝ってて混乱するだろうけど、要点をまとめると人間を食べる頻度を最小限に抑えるサプリだと思えば良い」

金木の手はすでにパソコンの入力に激しく動いていた。必要事項を全て書き込み、それは彼の渇望をどんどん満たす。画面を上下にスクロールして書き漏らしがないのを確認すれば、彼は「お願いします!」と例の認証コードをもらう為にパソコン画面を夢主に向け直した。

再びメガネを直した彼女も記入漏れがないかを確認し、彼の即決に答えて認証コードを入れて登録情報を送信する。

「お疲れ様。あとはコンビニかATMでお金を振り込めば、母乳が届くようになるわよ。このプロジェクトに参加した以上、定期的に私が貴方の様子を尋ねる事になるだろうから、これからも宜しくね」

「はい、宜しくお願いします!」
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