第2章 無題(黒子のバスケ/火神夢)
「神はお前を受け入れない」
「神なんて居ないわ」
「なら何で天国へ行けるって断言できる? 神が居なければ天国もねーぞ。そもそも神の事、知ってんのか?」
「そんなの知った事じゃないわ。少なくとも、今の場所よりは良い所へ行けるもの」
「今よりも酷い場所へ行くかもしれない。永遠に苦しみ続ける場所へ辿り着くかもしれない。そんな博打、俺には理解できねーよ」
「人はいつか死ぬのよ。博打だなんてゲームじゃなくて、真実よ。それが自然死だろうが自分の手で早めようが私の勝手じゃない」
「だが俺たちは本能的に『人殺し』が許されないものだって知ってる。普通の生活を送る中で、自殺なんて夢物語だ。本能がそう制御するからには、自殺は悪なんじゃないのか?」
「バ火神は黙ってなさいよ! 自殺したい人間の気持ちも知らないくせに! アンタみたいな幸せいっぱいなヤツに、何が分かるのよ! 本能? 笑っちゃうわね、今の私は『本能的』に死にたいって思ってる! だからここに来たのよ!」
「アメリカも自殺率が高いくせに」
「その自殺率がアメリカ(おれたち)より二倍のヤツに言われたくないな」
「じゃあ、お前が死にたい理由って何だ?」
「……アンタに言う必要ない」
「あれか? お前の友人が自殺したからか?」
「なあ」
「何よ」
「どうせ影響されんなら、俺に影響されろよ。素直に死にたくないって言え」