第10章 求めるもの
「あれ?知らないの?さゆちゃん、嘘つくの下手だよ。今だって顔真っ赤だし。」
「嘘下手なのは白澤さんでしょ!」
「僕は違うよー嘘つかないだけ〜つこうと思えばつけるし。」
「どっちでもいいから退いてください!」
相変わらず片手は掴まれているし自由な方の手も生憎白澤さんと自分の体に挟まっていて、ぐいぐい押しても抜け出せる気がしない。
この間も思ったけどなんだかんだ白澤さんも男だ。
私の体はすっぽりと覆いかぶさる白澤さんに包まれている。
「そんな風に抵抗されても高まるだけって知らない?」
白澤さんは埋めていたその顔をもぞもぞと横に向けると首筋をチロッと舐めてくる。
ぞわっと一瞬、鳥肌が走る。
「ちょっ…!この酔っ払い!!」
「酔なんて走ってとっくに冷めたよ。」
体を少し浮かせ、自分のおでこを私のおでこに当ててきたその顔は、改めて見るとやっぱりカッコよくて。
………あの時と一緒だ。
おちゃらけたいつもの感じがスッと消え、空気が澄み渡る。そんな雰囲気。
でもあの時と違って、焦りや嫉妬心は見えない。
「シラフだよ。真面目に、好きだよ。」
真剣な顔でそう言ったかと思うと、雰囲気はそのままに白澤さんはふわっと笑い、直後、視界が暗くなる。
唇に感じる柔らかい感触。
あ、目つぶろう。
2秒ほど、優しく触れ合うだけのキス。
ゆっくりと離れる白澤さんにこのまま顔を見られるのはなんだか恥ずかしくて、思わず顔を横に向ける。
でもダメだこれ全然顔隠せない…
「………あの、白澤さん…」
「なに?」
「ガン見するのやめてください…」
「…………そうだね。」
顔が離れてから、ジーーーーっと無心に私の顔を見てくるその視線に耐えられなかった。
だってそもそも白澤さんとこんな雰囲気になるの前回のはノーカンにするとしたら初めてだし…!