第9章 どんぐりの背比べ
『とりあえず、俺は今から帰りますから。そしたらゆっくり説明しますよ。』
「ちょっ…さゆちゃんも連れて帰ってきて?!!納得できない!!」
『いやぁ、俺も今回は白澤さんが悪いと思いますよ?』
「えぇっ?!ちょっと!2人ともあいつに何言われた知らないけどさぁ!ちゃんと話そうよ!!」
『………ざまぁ。』
電話裏で「貸してください」なんてあいつの声が聞こえたかと思ったらそれだけ言って切られた。
えっまじで?
何を聞いたか知らないけど、桃タローくんは僕が悪いと言った。
いや、でもこと今回に関してはさゆちゃんと何よりあの鬼の方が悪いだろう。
確かに彼女が他の男にマッサージしただけでギャーギャービービー言うのはみみっちいかもしれない。
でも桃タローくんは知らないんだ。
あの鬼がさゆちゃんを好いていることを。
それさえなければ僕だってこんなに怒らない……たぶん……うん。怒らないはずた。
桃タローくんに言いたい。
相談したい。
だからと言って人の好きな人を勝手に言うなんて小学生じゃあるまい…
あーーーもうくそっ…!!
こうなったら背に腹は変えられない。
プルルルルルルルルル
『はい。』
「よーニイちゃん。今夜僕と桃タローくんと、男3人で酒でも飲もうじゃないか。」