第9章 どんぐりの背比べ
「さゆちゃん!!!」
ドアを勢いよく開けると同時に、お店の中で薬草を調合していた彼女に詰め寄る。
「えっ?なに?どうしたんですか?」
「マッサージ!!!」
「え?」
「あいつにしたろ!!マッサージ!しかもあいつの部屋で!!」
そこまで聞くとことの経緯を大まか理解したのか「あっ」という顔をした。
正直あいつの嫌がらせかと思ったけど本当にしたんだ…
「別に日頃のお礼としてですよ。10分くらいだったし。それくらいいいじゃないですか。」
「良くないよ!!」
さゆちゃんは日頃のお礼だとしてもだ、男の部屋に女の子がのこのこ行くもんじゃない。
しかも、あいつはさゆちゃんの事を好きだと言った。そんな相手の部屋に彼女が行ってしまうなんて僕としては良いわけがない。
「だいたいマッサージって!!!女の子から言われたらテンション上がるんだよ男は!!」
「ちょっと!!それ偏見でしょ!!!!白澤さんと違って鬼灯さまはお仕事漬けでお疲れだからって気持ちも込めてのものだし!!そもそもやってる間鬼灯さま寝てたし!!白澤さんと違って軽薄な方でもないですから!!!白澤さんと違って!!!!!」
「まぁまぁ、2人とも落ち着いて…」
「「桃タロー君はどう思う?!?!」」
「矛先がこっちにきた!!!」
桃タローくんがなんとか僕らを引き剥がして、とりあえずその場はおさまってけど、結局、その日は目が合えば逸らし、必要最低限の会話しかしなかった。
それが昨日の事。