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距離感がおかしい

第9章 どんぐりの背比べ







自分でも思ったより身体は高く上がり、勢いよく地面に叩きつけられる。

女の子と違ってバカみたいな力で殴られたし閻魔殿の床は硬いから地面よりずっと痛い。



「いったぁああー!!!いきなり何すんだよ!!」
「黙れこの白豚。」
「ふんっ!好きな子からチョコも貰えなかったからって八つ当たりすんなよバーーカ!!」


他の女の子からいくつ貰ってたって結局本命から貰えないならお前なんて負け組だ!!!

そう手をピラピラしながら言って、今日は完全に僕の勝ちだと思った時だった。



奴がはぁ〜と大きくため息をつくと哀れむような目で僕を見てくる。


「…マッサージ。」
「え?」
「チョコは貰えませんでしたけど、代わりに、私の、部屋で、マッサージを、してもらいました。」



一言一言、区切りながら、強調しながら言うその声に一瞬頭が働かなくなる。

いや、逆にフル稼働してたな。


あいつの部屋で?
マッサージ?
さゆちゃんが?
ってか待って?

「マッサージなんて僕もされた事ないぞ…」

うっかりと口にすれば、途端、あいつの顔は優越感を漂わせた。

「それは死んでからまだ誰にもしてなかったらしいですからねぇ…?白澤さんより先にしていただいてしまって、本当、すみませんねぇ。」





その後は正直何話したかあんまり覚えてない。
でも多分覚えてろよ!なんて台詞を吐いてきた気がする。


覚えてるのはそういえばさゆちゃん現世ではたしか整体師とかしてたって言ってたなってのと、なんでよりにもよってあいつが死んでから初めてだったのか、なんであいつの部屋でしたのか、どこをどんな体勢でしたのかとかをひたすらグルグル考えてた事だ。




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