第8章 バレンタイン特別短編(鬼灯)
私もだろうか?
この気持ちを、知られる事もなく終わるのだろうか?
「実は昔、貴女のこと好きだったんですよ。」なんていつか言ったりする事になるのだろうか?
それは…
嫌ですね…
机の上に転がるどこからか飛んできたチョコが目に入った。その粒を手に取ると、もう一度さゆさんの方へ目を向ける。
腕を軽くあげる。
届け。
気づけ。
流れ弾なんかじゃない。
貴女を想っている者がいることを、
貴女への愛を込めて投げた私が確かにいることを、
どうか
弧を描いたチョコはコンっとさゆさんの後頭部に当たった。