第2章 そうだ、デートに行こう。
突然のことに思わず固まってしまった。
あれからさゆちゃんとの待ち合わせ場所で合流し桃源郷へ戻ってきた。
あ、俺こと桃太郎とさゆちゃんはほとんど同期である。さゆちゃんはもともと天国の亡者だったけど白澤様とにナンパされたとき漢方に興味をもってたこともあってそのままこの職に就いたという。そしてそれとほぼ同時に俺も就職。
まぁそんなことは置いておいて。
帰宅してからは何事もなかったかのように3人で食卓を囲んでいた。白澤様がいくら浮気をしてもさゆちゃんは時間をあけるといつも通りに戻っている。いつも通りすぎて毎回俺は若干の恐ろしさを感じるくらいだ。
「ねぇ…白澤さん…?」
食器を片付けているさゆちゃんがおもむろに白澤様に声をかけた。
突然名前を呼ばれた浮気神獣といえば「な、なに?!」と若干声を裏返している。
たぶん俺と同じことを考えたのだろう。
別れ話か……?
ついに、ついにか?!ドキドキひやひやしながら言葉の続きを待つ俺と白澤様。
しかし続いた言葉は予想外のものだった。
「鬼灯さまと話していて気付いたんですけどね…その…なんていうか私たち付き合ってから3ヶ月も経つのに特に何も進展ないじゃないですか…なんでその…良ければふらっと出かけませんか…?」
「えっ…?」
「いや本当に!時間のあるときというか暇なとき30分でも良いんでそのその辺を散歩というかですね?」
「それってデートってこ………」
言いかけてフリーズする白澤様。
さゆちゃんの顔は真っ赤だ。
つられてか白澤様も、見ている俺まで顔が赤くなってくるのを感じる。
「あの…忙しかったら…」
「いくいくいくいく!!!!!ひまひま!!!!忙しいわけがない!!!!ひま!!!!!いく!!!!」
白澤様が机をバンと叩いて食い気味に立ち上がる。
こういうのを見ると白澤様がさゆちゃんに惚れ込んでいるのを感じるけれど、ならばなんであんな浮気をするのか。
ていうか他の子とはデートくらいほいほい行ってるくせにさゆちゃんとはまだ行ったことなかったのか本当クソだな。