• テキストサイズ

距離感がおかしい

第8章 バレンタイン特別短編(鬼灯)







「これ投げるの結構楽しいな!!」
「今俺に当てたの誰?!」


ワーワーギャーギャーと声とチョコが飛び交う。

開始をしてから5分。
皆さん大いに盛り上がっているようで一先ずホッと息をついた。


今回のイベントでは女性はチョコを気になる相手に投げ、該当する相手がいない者は亡者に投げることとしている。

まぁ男性もチラホラ気になる相手に投げているようですが…

投げるチョコ自体も小さいため、流れ弾に当たっても特に痛くは無い。これならさゆさんにも存分に楽しんで貰えるだろう。

正直、鬼と亡者ではそもそもの力量が違うから心配していたが徒労だったようだ。



「鬼灯さま!受け取ってください!!」

楽しそうに笑っているさゆさんを見ていたら突然声をかけられた。

「岩姫さん?」

「鬼灯様!!!私も!!!」
「私も!!受け取ってください!!!」

ずいっとこちらへ向けられた岩姫さんからのチョコを受け取ったのを合図に他の女性からもどっと、少し高い位置にいる自分の元へチョコを投げられる。


「まじか…鬼灯さま…」
「アンタそりゃないよ…」

そんな声が小さく耳に入る。
正直女性からチョコをいただけるのは嬉しい。
まぁあわよくばくらいに思っていたけれどこんなに貰えるとは…


………


……しまった!


バッと思わずさゆさんの方を見る。さゆさんといえば相変わらずキャッキャとチョコ撒きを楽しんでいた。
思わずホッとするが私が誰から受け取っていようと気にする必要もないのでは?と思う。

だって、私はさゆさんからしたら……




ちょ、今さゆさんに当てたの誰だ?

そこまで考えて、少し伏せた目を思わずあげて二度見する。

まぁ、そうですよね。
ちょこちょこ閻魔殿に顔を出して、しかも私や白澤さんと一緒にいた彼女はきっと目立っていたはずだ。

そういえば白澤さん、お付き合いを始めた時もデートをした時も自慢して回っていましたしね…。

あの白澤さんがまじ惚れした彼女という事もあって、本人は知らないだろうけれどさゆさんは地獄では一時期結構話題になっていた。





/ 148ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp