第7章 話して触れて愛させて
「さゆちゃん…でもやっぱり…」
やっぱり君とはちゃんと…
白澤さんがそう言いかけたところをグイッと腕を引いてこちらを向かせ、その首に抱きついた。
「…っ!!さゆちゃん…!」
「ちょっと黙っててください。」
肩に顔を埋めながらそう言うと白澤さんはおろおろしながら少し落ち込んだ様に肩を落とした。
まったくこの人はなんて愛おしいんだろう。
どんだけ不器用なんだろう。
はじめはただのチャラい男だと思ってた。
実際、女の子に関してもその他いろいろに関してもルーズだし、手は早いし、手放すのも早いし…
その場の雰囲気と吊り橋効果(?)があったにしろ、ここで働き始めた時は自分がこの人と付き合うなんて思ってもみなかった。
浮気したところを見てもまぁいつでも別れればいいしと思っていたから軽い嫉妬はしても特に責めたりもしなかった。
それでも
自分に触れる時はいつも、優しく、大切にしてくれてるのがすごく伝わってきて
私といるだけで幸せそうな顔をしてくれて
何かあるとすぐ周りの人に惚気て
くだらないことで嫉妬して
押し倒しただけでこんなにも落ち込んで
そんな姿を見る度にどんどんと好きになっているのが自分でもわかっていた。
ねぇ白澤さん、
あなたが笑ってくれるだけで私も嬉しくなるんです。
あなたが触れてくれるだけで心が落ち着くんです。
今こうして抱きしめている間も愛しさが増していくんです。
「白澤さん、好きです。」
もう一度そう伝えると、白澤さんもおずおずと手を背中に回してきた。
「僕も…僕も好きだよ…愛してる。」
お互いの腕にわずかに力が込められる。
彼に触れている全ての箇所が熱を帯びて、暖かさがじんわりと体を包んだ。
あぁ、やっぱりいいなぁこれ…