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距離感がおかしい

第7章 話して触れて愛させて









「本当ごめんね……おやすみ…」


いたたまれなくなり部屋のドアに手をかけようとした時だった。後ろからドッと衝撃を感じると同時に腰に手を回された。


「………さゆちゃん、離して。」
「…なんでですか?」
「だって僕今…」
「押し倒した?」
「……うん。」


誠実だなんだ自称しておいて、くだらない嫉妬で抱こうとした。自分で決めていたことすら守れないなんて…




初めて本気で好きになった。
初めて失いたくないと思った。

本当に本当に、
大切にしたいと思ったのに、あっさりと理性を失った自分がどうしても許せない。




「…ごめん……もっと、もっと大切に君に触れたかったんだ……こんな理性吹っ飛ばして襲うようなことしたくなかった…」
「…白澤さん、こっち向いてください。」
「…やだ…」

俯いたままドアに額をつける。

こんな情けない自分を見られたくない。
それに向き合ったらまた襲ってしまうかもしれない。


だからどうか離してほしい。


でも離してほしくないのも確かで。
ただ動けずに立ち尽くすしかなかった。



さゆちゃんがはぁ、とため息をつく。
中々ぐさっとくるなぁと思ったと同時に腰に回された手に力が加えられた。





「白澤さん、好きですよ。」





優しく、それは愛おしそうに呟かれたその言葉に目を見開いた。目頭が熱くなる。



「確かにさっきはちょっと驚いちゃったけど、別に嫌なんかじゃなかったから。
白澤さん。
好きなだけ触れてください。もう解禁したし。白澤さんの気持ち、ちゃんとわかってるつもりですから…。」






ああ、




やっぱりさゆちゃんはずるいや…





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