第7章 話して触れて愛させて
「なんかさ、白澤さん地獄から帰ってから様子おかしくない?」
「確かに。」
帰ってから白澤さんはずっと上の空でひたすら薬草をすり潰している。
鬼灯さまに何か言われたんだろうか?
仮にそうだとしても何を言われたらあそこまでほうけるのだろうか。
「白澤さん!おーい!」
「……」
目の前で手を振りながら呼びかけるが反応なし。
「白澤っ!!!!」
「はいっ!」
大声で呼ぶとビクッとしてすり鉢を落としそうになっている。
「大丈夫ですか?鬼灯さまになにか言われたんですか?」
「あ……ううん、なんでもないよ。」
にこりと笑うが明らかに挙動不審だ。
でも…あの白澤さんが私に話したくないと言うのなら無理に聞き出すのも良くないのかもしれない…。
「そう…ですか…。」と言う事しかできず、持ち場に戻ると桃タローくんが近づいてきて小声で話しかけてくる。
「大丈夫かな…?」
「分からない…でもあんまり詮索されたくないみたいだからちょっとそっとしといてあげて…」
「わかった。」
とりあえず今日のところは静かに見守ることにしたがやっぱり心配だ。
我ながら勝手だと思うが触れたいと思ってしまった。
触れて、頭を撫でて抱きしめてあげたい…。
ダメだな、私。甘いんだろうか。
あーもう。
早く、今日が終わればいい。