第7章 話して触れて愛させて
思わずフリーズしてしまった。
えっこいつ何言ってんの?
「まだ気持ちを伝える気はありませんが隙ができたら一気に畳み掛けるつもりなので。その気でいて下さい。以上です。」
「いや『以上です』じゃねぇよ!!お前僕が付き合う前理由が分からないみたいな事言ってたじゃねぇか!!」
「ええ。なので不思議なものです。ただ貴方の話をしているときの彼女が美しいと思ったので。」
くそっそんなこと言われるとちょっと嬉しいじゃないか…ってそうじゃなくて!!!
「本気で言ってんのか?」
「冗談でこんなこと言うつもりはありません。」
なんてこった。
こいつと比較されて振られまくった黒歴史を思い出す。
さゆちゃんに限ってそんなことないと思うけど……いや僕がそう思いたいだけなんだけど。
浮気ばっかして、仕事もちょこちょこサボって、奥手でそのくせ何でもかんでもすぐにベラベラと惚気て現在進行形でお仕置きを食らってる僕と、真面目でスマートにプレゼントしたりエスコートする積極的なこいつ。
自分で比較なんてしたくなかったけど圧倒的に負けている気がした。
昨日の様子を思い出す。
「……やる気はないから。」
「せいぜいお気をつけてください。」
それだけ言って閻魔殿を出た。
お香ちゃんのとこに行ってる場合じゃない。
なんだかすごく不安になってきて天国へと道を急いだ。