第7章 話して触れて愛させて
「あれ?これ」
「え?」
ガッツポーズをしていると桃タローくんが後ろで何やら紙を持ち上げて見ている。
「これ処方書ですよね?」
「げっ渡し忘れちゃったか。まぁ、あいつコレよく使うし大丈夫でしょ。」
「ダメですよそうゆうの!こういうとこから信用落ちてくんですから。私届けに行ってきますよ。今なら追いつくかもしれないし。」
さゆちゃんが桃タローくんから紙を受け取ろうとするのを横からパッと奪い取る。
「僕が行ってくる!」
これ以上あいつに彼女を近づけてたまるか!
ついでにお香ちゃんのとこでお茶でも飲んでこよっと。
結局道ではあいつに追いつくことはなく地獄まで来てしまった。まぁ僕的にはそっちのほうがいいけど。
中に入っていくとあいつがいつもの場所でいつも通り書類に目を通している。
「おい、これ渡し忘れていたんだ。」
「おや、珍しいこともあるんですね。さゆさんが来ることがないとは思っていましたが。」
「いいだろ別に!ってかお前気づいてたのかよ。」
「ええまぁ。」
本当にいけ好かない奴だ。
渡したことだしさっさとここを出よう。
「じゃあな」と振り帰ったところで「あ、待ってください。」と呼び止められた。こいつに呼び止められるなんて珍しいな。まぁ全然嬉しくないけど。
「なんだよ。」
「貴方には一応言っておこうと思いましてね。そういう意味では貴方が来てくれてよかったです。」
「な、なんだよ気持ち悪いな…」
嫌な予感がする。
「その気は無かったのですが、先日の一件でさゆさんのことを恋愛対象として好きだと自覚しました。」
…………
………
は?