第7章 話して触れて愛させて
カラッと戸の開く音がする。
「さゆちゃーん!おかえ…」
このパターン何度目だよ。
「ただいま帰りました。」
「どうも。」
入口に並んで立つのはさゆちゃんと例の鬼。
「電話でお願いした薬を取りに来ました。」
「あと5分でできるから。僕の視界に入らない所で待ってろ」
「さゆさん、一緒に外のうさぎ触りませんか?」
「僕の目の届く所で正座してろ!!!」
薬を調合している間、桃タローくんがお茶を持ってきて3人でほんわか談笑している。
何この疎外感。
薬にトリカブトでも入れてやりたいけど僕の沽券に関わるので仕事を手抜くわけにはいかない。
ちゃっかりさゆちゃんの隣に座りやがって。さっさと済ませてお帰り願おう。
それにしてもだ。
これは僕の勘違いだろうか。
あいつのさゆちゃんを見る目が心なしか優しい気がする。