第7章 話して触れて愛させて
「白澤さんが面倒臭いので。ちょっと息抜きに。」
鎌につなぎという女子として少しどうなんだろうといった格好だがまぁ仕方ない。気の知れない仲ではないし、いいか。
「鬼灯さまは?今日はどんなご用で?」
「ああ、最近忙しいので徹夜のお供になる薬を。悔しいですがなんだかんだ、ここのが1番効くんですよね。」
「わぁ…ありがたいけどあまり喜んでお渡しできませんね…」
地獄はいつも忙しそうだ。
とくに鬼灯さまは人一倍動いている姿をよく見る。最近はそれに加え金魚草のイベントが近づいているようでさらに忙しいらしい。
「私もひと段落ついたんで一緒に行きますね。お二人またケンカしそうだし。お店の中壊されたら困るんで。」
「店内で暴れたりしませんよ。それに昨日仕掛けてきたのは白澤さんの方からです。」
鬼灯さまは怪訝そうに眉間にしわを押せる。
その姿がなんだか子どもらしくて、ギャップ萌えというか可愛らしい。
「何にやけているんですか?」
「いえ?なんだか鬼灯さまと白澤さんってケンカしてる時2人とも子供っぽくてかわいいなぁと思って。」
「かわいい」と言われたことに驚いたのだろうか、鬼灯さまは一瞬止まったように見えたあと、ふいっと顔をそらしてしまった。
「…アレと一緒にされるのは心外ですね。」
「ふふっ。それは失礼しました。」
よかったー怒ってはないみたい。
ホッとすると同時に照れ隠しをするように顔をそらした鬼灯さまを思い出しまたほっこりとした気分になる。
そんなふうに雑談をしていればあっという間に極楽満月についた。