第1章 いつも通り
鬼灯さまはそろそろ時間ですねと懐に時計をしまうと店を出て行き、私もそれにつづいた。
「鬼灯さま、今日は本当にありがとうございました。次こそはなにかご馳走したいので食べたいものでも考えておいてくださいね。」
「別に気にされなくても良いのに…それより貴女こそどうするのか考えた方が良いですよ。白澤さんと別れて地獄にくるならいつでも歓迎します。」
「はは…候補に入れておきます…」
苦笑いである。
鬼灯さまはそんな私の様子を見て何やら満足そうな顔をするとこれで失礼します。と閻魔殿へ向かっていった。
はぁー。と思わずため息が出てしまう。
ーーどうするのか考えた方が良いですよ。
本当だな。さてどうしようか。
正直自分の中では決まっている。
うじうじしてても仕方ない。
そして白澤さんからのモーションを待っていても何も始まらない。
デートに誘おう。
まずはそこからだ。
天国の、というかお店の近くで良い。適当にうろうろ散歩するだけでいいのだ。
そうと決まれば桃太郎くんとの待ち合わせまであと1時間。デート服でも選んでやろうじゃないか。