第1章 いつも通り
というわけで、鬼灯さまに連れられて新しくできたというお店に来た。
髪飾りやアクセサリーなどの小物が置いてあるお店なのだがこの少し不気味なテイストは地獄ならではなのだろう。2人でこれが好きだあれは微妙だと見ていてふと思った。
私、白澤さんとデートしたことなくない…?
ちょっとまてよ。いま私と鬼灯さまがしているこれはもちろん2人で出かけているというだけで他意はないけどデートと呼んで良いだろう。
つまり。つまりですよ?
私白澤さんと一緒に2人でどこかに出かけたことなくない?
仕事で桃太郎くんと3人で外出することはあるし、そもそも一緒に住んでるけど、あくまでそれは仕事の為というか恋人としてのものではない。
そもそも部屋違うから寝るときとか別々だし。
もはやシェアハウス的な?
「…?さゆさん、どうかしましたか?」
「………鬼灯さま…私、白澤さんとデートしたことないかもしれないです…」
「………お2人は付き合ってからどのくらい…」
「約3ヶ月です。」
恋人達のターニングポイント。お互い落ち着き、熱が冷めはじめ、マンネリ化し別れやすくなるという例の3ヶ月目ですはい。
「なんで付き合ってるんです…?」
「なんで…でしょうね……?一応やっぱり好きだからですかね…?」
「疑問系なんですか。」
「いやもちろん好きなんですけど…なんていうか私、白澤さんに嫌われてたと思ってたんですよ。そう思ってたのに実は好きだったんだって言われたからもしかしたらそれでキュンときちゃったんじゃないかって今…」
「つまり告白されてときめいて勢いで付き合ってしまったということですか?」
「そ….うかもしれないです…あ、でもお香さんとかからお店で簪とか着物を見ているとき、いつもどれが私に似合いそうだとか言っているっていう話聞いちゃうとやっぱりキュンときちゃうんですよね…」
「なるほどそうしてずるずる付き合って、あげく生活費やら何やらねだられても断れなくて、彼が1番好きなのは私だから…とお金を渡すようになるんですね。ダメ男に貢ぐ典型的パターンです。」
「くそっ!ちょっとありえそうで怖いから言い返せない!!!ていうかそんな未来予想しないでください!!」
「どちらにしても今のまま放置は貴方のために良いと思いませんよ。紐男が出来上がるだけです。」
「確かに…」