第6章 隣は友人、彼氏は物陰
「あ、鬼灯さま…ってあれ?さゆさんだ!」
「本当だ。こんにちは。」
閻魔殿につくと書類を抱えた唐瓜くんと茄子くんに会った。小さくて一見子供の様に見えるため、成人していると聞いたときはとても驚いた。仲良くなった今でも弟のように見えてかわいい。
「2人ともこんにちは。」
「いろいろあってお茶を入れて頂くことになったんです。」
鬼灯さま話はしょりすぎじゃない?と思ったけれど2人はそっかーと納得したようで、茄子くんに、いたっては俺も飲みたい!と言っていた。
「じゃあ2人にも後で届けるね。」
「やったぁ!」
「すみません…ありがとうございます。」
無邪気に喜ぶ茄子くんと恐縮そうにする唐瓜くん。
あーこんな弟ほしいなぁ。と思っていると何やら鬼灯さまの視線が痛い。鬼灯さまをチラッと見ると2秒ほど目が合ったが特に何も言わずすっと2人へと顔を向ける。
「そういえばお二人は何のご用で?」
「あ、ここの書類の書き方で分からないところがあって…」
2人は説明を聞き終わるとありがとうございましたとお辞儀をして持ち場へ戻っていった。
2人の背中を見送ると鬼灯さまが顔をこちらへ向けてくる。
「さゆさん、茄子さん達には給湯室にあるものを淹れてあげてください」
「え?」
「このお茶はさゆさんが私にとくれた物なので。他の方にはあげないでください。」
「そんなケチな。」
「貴方は私にくれたのでしょう?」
鬼灯さまが腰をかがめ顔を覗いてくる。
近い…。鬼灯さまも切れ目でかっこいいから無駄にドキドキしてしまう。
子供みたいなワガママをいうなぁと思ったけど確かに鬼灯さまの言うことも一理あるし、人数が増えると回りきらないなとも思ったので折れることにした。
「わかりました。じゃあ他の人には内緒で。」
「ありがとうございます。」
なんとなく鬼灯さまの目が優しくなった気がした。
喜んでるのかな?
それならまぁいいかと思ってしまう。
鬼灯さまに「じゃあちょっと行ってきますね。」と告げて給湯室へ向かった。