第3章 馴れ初め
「実は昨日、桃タローくんと話してるの聞いちゃったんだ…それで…その、単刀直入に言うと、僕さゆちゃんの嫌ってないから!絶対にないから…!!」
「え……でも….」
「本当!!!本当に嫌ってないから!!!誤解なんだ!」
「でも…白澤さん、私にだけよそよそしいし…明らかに避けてるし…」
「違うんだよ!!本当に誤解だから!!!好きだから距離感が掴めなくなっちゃっただけなんだ!!!」
「えっ…?」
「え?」
あれ?僕今なんて言った?ちゃんと言えたよね?
「白澤さん、今好きって…?」
「えっ」
わっ
ああああ…!!!
顔が一気に熱くなった。今すごい真っ赤だと思う。
「違う!!!違うんだ!!!その!!!えっと!!!まって!!!あーーどうしようまって!!!」
完全に頭が真っ白になった。
次の言葉が出てこない。
泣きたくなってくる。
パニックになっていると両腕をガッと掴まれた。
「落ち着いてください、とりあえず3秒、私の目を見てください。」
そう言われてジッと見つめてくる目を見返す。
3秒ってこんなに長いの?5分以上見つめあってるような気がする。頭は落ち着いてきたけど顔はどんどん熱くなる。
「もう一回。ちゃんと言ってください…」
さっきまで真剣な顔で僕をジッと見つめていたさゆちゃんが優しく微笑む。
僕はこの子に気を使わせてばかりだ。
「……さゆちゃん、僕、さゆちゃんが好きだよ。女の子として、恋愛対象として。
大好きなんだ…。愛してる。」
「……」
「声を聞くだけで嬉しくなるし、2人でいるだけで緊張する。今だって目を見るだけで胸が苦しくなる。」
好きだよ。
丁寧に一言ずつ言う。
僕の顔は笑えているだろうか。
さゆちゃんの目が潤んでいく。
「……私……白澤さんに嫌われてると思って…」.
「…ごめん…」
「私に触れるとすぐ距離を置くし……2人になると…どこかへ逃げちゃうし……」
「ごめん……」
彼女肩におそるおそる手を伸ばし抱きよせる。
腕の中で微かに震える彼女は泣いているんだろう。