第3章 馴れ初め
「本当にごめん…こんなの初めてだったんだ…….安易に君に触れて嫌われるのが怖かった…フラれて気まずくなるのが怖かった…君が僕のそばからいなくなるのが怖かった…自分が自分じゃないみたいで…怖かったんだ……」
抱きしめる腕に思わず力が入る。
胸が苦しい。
彼女に触れている全ての箇所が熱い。
離れたくない。離したくない。
「さゆちゃん…好きだよ、大好きなんだ……僕のこと見ててほしい……叶うならずっとそばにいてほしい……」
彼女がおずおずと顔をあげようとするのでゆっくり腕の力を緩める。
「さゆちゃん…僕と……僕とお付き合いしてください……」
「……っ……はい………」
彼女は確かにはいって言った。
潤んだ目で静かに微笑みながら。
好きで好きでたまらない彼女が。
僕の気持ちに応えてくれた。
もう一度腕に力を込める。
あぁもう今なら死んでもいいや。
本当にこのまま時間が止まればいいと思った。