第3章 馴れ初め
「そんなことないよ!??」
「なんで若干疑問系なんですか…ていうか顔真っ赤ですけど。図星ですよね。」
「いやいやいや!そんなことないって!ていうかなんなのさ藪から棒に!」
「白澤様だってこないだ唐突でしたよ。」
「うっ…」
「白澤様最近さゆちゃんと話すとき若干変じゃないですか。」
「えっそう…?」
「なんかテンパってるっていうか触ろうとして手引っ込めたり」
「うそ…僕そんなことしてる…?」
「自覚ないんすか?」
「ないよ…でも確かに目が合うとそらしちゃったりしてるかもしれない。」
「初恋中の中学生か。」
思わずうそだろぉ〜と頭を抱えてしゃがむ。
「他にもありますよ。白澤様がおかず作る時とか、最近買ってくるお酒もさゆちゃんが好きなの多いし、さゆちゃんが男性客の接客してると横から入ってってるし、あ、あと最近遊ぶ女性も大体さゆちゃんにどこかしら似てますよね。」
「うわぁあああやだなにそれ僕気持ち悪いくない?!」
「肝心の本人には一切手ェ出してない上に無自覚なのがキモいですね。」
うわぁあああああああやだやだやだなにそれなにそれ…
桃タローくんに言われて初めて気づいたけどよくよく考えると確かにそうかもしれない…
お店のドアが開く音がした。入ってきたのは話題の人だ。
「ただいま帰りましたーって何してるんですか?」
「……うん……おかえり…」
頭を抱えてしゃがむ僕を見て少し呆れるさゆちゃんと目があった。
やっぱりかわいいなぁ。
また顔が熱くなってきたからこれはもう、認めざるをえないよね。
どうやら僕は彼女に惚れたらしい。