第3章 馴れ初め
サーっと血の気が引いた。
なんでそうなるのだ。
「やだやだやだ!!!絶対やだ!!!!」
「そんなこと言っても人手不足なのは確かでしょう?白澤さんだって前にうさぎさん達が芝刈りできればいいのにって言ってたじゃないですか。」
「うっ…」
「なんかすみません…」
桃太郎と紹介された彼は申し訳なさそうにしている。確かに人手はほしい。芝刈りをさゆちゃんにやらせたくないし、かといって自分でやるのも面倒だ。
「わかった!増設しよう!!」
今の貯金で充分なお金はあるはず。それを使ったとしても女の子と遊ぶお金を減らせばそれくらいのお金はすぐできる。今のこの心地よい空間を手放すもんか。
決まるが早いが業者に連絡を入れる。
「はいっ!これでok!増設が終わるまでは近くの宿を借りたからそこに泊まるよ〜!」
さゆちゃんも桃太郎くんも急な展開にポカンとしている。
「いいんですか?!そんな軽く決めちゃってっていうか…」
「もちろん!思い立ったが吉日!簡単な宿舎だけど時間はかかるからその間桃太郎くんには基礎からお勉強してもらうよ!あと芝刈り」
「は…はい、よろしくお願いします…」
あれよあれよと進む話に2人はあっけに取られ、逆にすんなりと受け入れてくれた。
あの朴念仁はと言えばそんなやりとりもどうでも良さそうに終始眺めていたが、落ち着いたところで「大丈夫そうですね、では私はこれで。」なんていうと地獄へと帰って行った。