第3章 馴れ初め
一週間。基礎的な事を教えていたらあっという間に過ぎていた。
さゆちゃんは熱心に話を聞いてくれる。その様子がかわいくて僕にできることならなんでも協力してあげようと思った。
1週間も経つと僕の本を読んで自分で勉強している時間が長くなってきた。当然、暇になった僕は地獄の花街へ遊びに行くわけだけど夕食時には自然と家に足が向かった。
帰るとおかえりなさいと迎えてくれる声がある。こんなに心地の良いものだとは思わなかった。
さゆちゃんのご飯は美味しい。はじめ、普段通りお酒とおつまみで済まそうとしていたところ、漢方でなんでも解決できると思うなよ!と怒られた。
以来、さゆちゃんが作ってくれたものを一緒に食べるがそれでもたまにお酒とおつまみの日はある。さゆちゃんもお酒が好きなのだ。私も実はこういうの結構好きです。と怒った手前、ばつが悪そうに言う姿もかわいかった。
さゆちゃんとはいかがわしいことは何もしていない。本当に普通に一緒に暮らしいているだけだった。
でもなんだろう。体を合わせた女の子達よりもずっと近く、ずっと深い繋がりに感じる。そばにいるだけで暖かい。
なんだろう。幸せだなぁ。
ずっとこのままで居たいな。
このときの僕にはまださゆちゃんへの恋心なんて多分なかった。あっても気づいてなかった。
心境の変化はあいつが桃タローくんを連れてきたところから始まる。