第12章 愛しい人へ(中編)
「ただいま。」
いつものようにテレビをつけながら、昨日作った残りものを食卓に並べ食べる。
シャワーでは少し寒くなってきたな。
歯磨きを終えていつものようにクローゼットを開ける。
「あ……」
そうだ。昨日で終わってしまったんだ。
読みながら今日あったことを振り替える。
3年、もはや習慣となったそれはもうないのだ。
物足りない。
もう、もうないのか。
なぜだか不意に、目頭が熱くなった。
イヤだ
このまま、知らない君に触れることができなくなるなんて。
記憶の中だけになってしまうなんて。
罪悪感なんてとっくに消えていた。
今あるのは純粋な悲しみで。
それはずっと自分が求めていた悲しみで。
けれどもちっとも嬉しくなくて、あふれる涙は止まる術を知らず床に落ちる。
手紙はまた1から読み返すことにした。