第12章 愛しい人へ(中編)
「……なんだこれ…」
1番右上の端の紙の上には『ここから!』と書かれた付箋が貼ってある。
指示されるがままにその紙を手に取る。
どうやらそれは他のものより少し分厚い。
『よくぞ見つけてくれました。見つかんなかったらどうしようかと思った。
コレを見てるってことは、私はもうあなたに殺されたんでしょう。
結果はあえて聞きません。
そんなことよりこの紙軍団についてのルールーを書くね。
1.必ず読むのは1日1つにすること。
2.必ず寝る前に読むこと
3.飽きたらまぁ、仕方ない。
以上を守って読んでください。
それではまたね。』
「そんなことよりって…」
あっさりとした文は彼女らしくて、またねと締められたその手紙に少しドキリとした。
早速、1と表に書かれた物を1つ取り出す。
中は先ほどよりも酷く簡潔なものだった。
『生きててくれてありがとう。
自殺しないか心配だったから。
今日はゆっくり寝て、明日はお昼までには起きましょう。』
「……なんだこれ…」
すぐ次のものに手を伸ばしかけたところ、2と書かれた横に『1日ひとつだよ?わかってる?』と書いてあって、敵わないなとそっとそれを元の場所に戻した。
1つ目のそれをもう一度見る。
1日ひとつ、彼女からのラブレター(?)を貰えるのか。
「…今日はもう寝よう。」
ケータイのアラームを11:00にセットして、いつも2人で寝ていたベッドへと体を沈めた。
夜行性の彼女がずっとつけていた明かりは、今日は俺の時間に合わせて消える。