第12章 愛しい人へ(中編)
彼女を失った。
涙は溢れてきたけれど、それが殺人からの罪悪感か、失ったことへの悲しみなのか、もう自分では判断できなかった。
「それで何もなかったら、まぁ、悲しいけど、そういうもんなんだって諦めちゃいなよ。」
ね?
と彼女は言っていたけれど、その答えを得るのにはあまりにも代償が大きすぎた。
殺した。
自分が。
こんな愚かな自分のために、彼女の貴重な死を使って、挙句それは初めから、計画の時点から無駄だったことに今更気づいてももう遅い。
何も知らない医者に、彼女の家族に、
同情され、励まされた。
そんな立場じゃないのに。
彼女の数少ない遺留品を持って帰った部屋は、当然だけど真っ暗だった。