第10章 求めるもの
その視線は優しく、まっすぐに私を見つめている。
「え……あ…の…」
「だめかな?」
少し緩やかに微笑むようなその顔に見惚れる反面、頭の中で「今までこうやって女の子を口説いてきたんだろうか」とうっかり思ってしまった。
白澤さんが好きだ。
その気持ちは自分の中でも増している。
彼が本気で自分のことを好きだと言ってくれているのもちゃんとわかってる。
わかってるけど
「………雰囲気で言ってません?」
「………それもある。」
ひどく正直。
やっぱりね。
「はぁ…」
「えっ?ため息?」
肩を押して起きあがるとえっえっと焦る白澤さんもあっさりとその身を起こした。
「あの…えっ、ごめん…怒った…?」
向かい合い座っている白澤さんからは、さっきまでの男らしい余裕はなくなっていた。
その様子をじっと見つめる。
…………うん。
「あの…さゆちゃ……」
困り果てている白澤さんの服の襟首を掴んでそちらへ倒れこむ。
さっきとは逆。形勢逆転。
驚いているその顔に目をつぶって自分の唇を押し付けた。
「…っ」
ゆっくりと離れると相変わらず驚いた顔でこちらを見上げている。
その様子に思わず笑みがこぼれてしまった。
「白澤さん。好きですよ。」
「えっ…」
「だから他の女の子にしてきたような、雰囲気で口説くような誘い方はやめてください。」
そう言って笑えば、白澤さんは参ったな…と片手で顔を隠す。
うん、やっぱりこれだな。
かっこいい白澤さんが嫌なわけじゃない。
それでもこんな風に笑ったり焦ったり、表情豊かな、なんて言うか、素直な白澤さんが私はすごく好きなんだ。
「…………ん?」
白澤さんがパッと顔を上げて上半身を起こし、そのまま肩を掴んでくる。
「えっ」
「………じゃあそういうんじゃなければいいってこと?」
「あっ」
しまった