第20章 仲直りをしよう
静かな晩、私たちは近所の公園のブランコに来た。
優希は、ブランコに座り、漕ぎ始めた。
私も、隣のブランコにそっと腰掛けて、手を膝に乗せた。
「あのさ…。」
「優希、ごめんなさい!」
もう勢いのまましゃべってしまおうと、目をぎゅっと瞑り、両手を握りしめる。
「…え?」
「…私、自分が見えてなかったの。」
「美琴…?」
瞑っていた目を開き、夜空を見上げた。
「…私ね、日本に来るの、不安だったけど、楽しみでもあったの。
沢山の新しい出会いが待ってるって。
そして、征十郎さんと、優希、洛山バスケ部の皆と出会った。
征十郎さんの婚約者になるために、日本にきたけど、それだけじゃない。
私は…西園寺美琴として、今を充実して生きていきたい。だから、女子バスケ部のマネージャーになりたいと思ったの。
なのに……不安になって……優希の真剣な気持ち、蔑ろにした。
ごめんなさい。
私、凄く不完全で、間違ってばっかり。
でも、それでも……。
洛山女子バスケット部のマネージャーでいさせてください。」
私はブランコから立ち上がり、優希を見て頭を下げた。
すると、優希が、漕いでいるブランコから勢いよくジャンプして、着地した。
「うんっ。こちらこそ、宜しくお願いします。美琴マネージャー。」
そう言って笑う優希に、私も釣られて笑顔になった。