第19章 自分の気持ちを正直に
その時間は無駄なんだろうか。
すべてを征十郎さんに捧げた方がいい……?
そんなことは、ないと思う。
……私は、征十郎さんに釣り合うような、女性になりたい。
誰からも一目置かれ、人気者の征十郎さん。
その為には、私自身、もっと色々な人と出会って、知って、成長しなきゃいけないんだと思う。
今は、この日本にやって来て、洛山高校で出会った仲間と一緒に、学校生活を精一杯過ごしたい。
それが私の正直な気持ちだった。
なのに、香澄さんの、征十郎さんへの強い気持ちを目の当たりにして、自分の気持ちを見失ってしまった。
不安と弱気に支配されて、盲目になっていた。
『……明日。優希と話をしよう。』
もう揺れない。
私は、もっと強くならなくちゃ……。
明日から、また頑張ろうと決意して、今は机の上の問題集に取り組むのだった。