第19章 自分の気持ちを正直に
[優希]
今日、美琴は学校を欠席した。
いつも美琴が座る席に、今日は誰もいない。
私は、斜め後ろの自席から、方頬杖をして眺める。
『…やっぱ、私のせいかな…』
気持ちが沈む。
女子バスケ部の部長として、チームを引っ張る義務がある私と、美琴の親友としての私が、胸を圧迫する。
今日、何度目かのため息をつくと、何やら教室の廊下が騒がしい。
目を向けると、男子バスケ部部長、天下無敵の赤司征十郎様が、うちの教室を覗いている。
うちの男子生徒に何かを聞いた後、私をディスチャーで呼び出した。
私は立ち上がり、廊下で待っている赤司様に近づいた。
「どうしたの?赤司様。」
「…白々しいな…。今日は、美琴は休んでいるって?」
私は、複雑な心境を隠すために、赤司様から顔を背けた。
「…そうみたいね。」
「……ちょっと来てくれないか?」
彼が放つ、逃げることを許さない空気を肌で感じて、私は頷くことしか出来なかった。