第2章 着信あり
携帯で国際電話を掛ける。
しばらくすると、電話口から、ほんわかした母の声が聞こえてきた。
〈はい、西園寺です。〉
「ママ、美琴です。連絡が遅くなってごめんなさい。」
〈あら、美琴ちゃん。〉
「お兄ちゃん達から、沢山連絡が着ていて、皆を心配させてしまった…?」
〈大丈夫よぉ、昨日、赤司さんから連絡頂いて、心配はしてなかったの。でもね、お兄ちゃん達が美琴の声が聞きたいって、ずーっと、携帯へ連絡いれてるんだもの。困ったお兄ちゃんたちよね。〉
母は相変わらずホワホワしたしゃべり方で話してくれる。
「そうだったんですね。」
〈美琴ちゃん、京都はどう?〉
「昨日の夜着いたので、京都の街をまだ見てないんです。」
〈そう。今、日本はちょうど桜の季節でしょ。きっと綺麗よ。落ち着いたら、お散歩してね。〉
「はい。ママの分まで、見てきますね。」
〈身体に気をつけて、赤司さんと仲良くね。〉
「え?!…あの…はい…。では、また連絡しますっ。」
電話を切って、ボーッとしてしまう。
『そうよね……。赤司さんと私は、もしかしたら結婚するかも知れないんだから……仲良く………出来たらいいな……。』
「っくしゅっ!」
シャワーを浴びて薄着で長電話をしていたからか、身体が冷えてしまったみたいだ。
荷物の中から、大柄ボーダーの長袖トップスに白地のロングスカートを合わせ、ニットのカーディガンを羽織った。
確か飛行機の中で読んだ、[女子寮要項]に、食堂が在ると書いてあった。
私は食堂に行こうと身支度を整えていると、
ブブッ ブブッ
先程まで触っていた携帯電話が、鳴っている。
きっと、母と通話した事を聞いた兄たちが、電話してきたと微笑しながら通話ボタンを触る。
「はい、お兄ちゃんですか?」
〈赤司征十郎です。〉
「…え…?」
頭が真っ白になる。