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~スミレ色の婚約者~【黒子のバスケ☆赤司】

第16章 友情の亀裂


[征十郎]




「征十郎さん。これはこうで宜しいんですの?」

「……、そうだよ。」


俺は、横に立つ新しいマネージャー、鳳凰院香澄をちらっと確認して、視線をコートに戻した。



今週に入って、本当に彼女は洛山高校に編入してきた。
そしてあろうことか、男子バスケ部にマネージャーとして、入部してきたのだ。

俺の権限で、彼女を入部させないことも出来たが、これからIH、合宿、WCと猫の手も借りたい状況になるだろうと、入部を許可した。


「征十郎さま、これは…。」

「すまないが、後は他のマネージャーに聞いてくれ。
俺は練習に戻る。」


彼女を横目で見て、コートへ足を踏み入れた。


「征ちゃん、ツレない態度ね。彼女も、征ちゃんの婚約者なんでしょ?」

「そーーだよな!なんで、あんなに冷たい態度なんだよ?可愛いじゃん!」


実渕と葉山がボールをドリブルしながら、俺に近寄る。
彼女が入部の挨拶の時、俺の婚約者だと言って以来、部の中で、俺と彼女を2人にしようと、変な気の回しかたをする奴が増えた。


「……確かに、婚約者の一人だが、俺は美琴と決めている。」


俺は軽くドリブルをして、3Pを放つ。
俺のボールは綺麗に弧を描き、ゴールに吸い込まれていく。


「きゃっ!征十郎さん、かっこいいですわね!!」


俺は、彼女の声に眉を潜め、隣の体育館へ視線を向ける。



すると洗濯干場で、美琴ともう一人のマネージャーが、何か話をしながらゼッケンなどを干している。


サーーーっと風が吹いて、美琴の髪の毛が流れる。
彼女は、気持ち良さそうに目を細めてタオルを持っているその姿に、俺は目を奪われてしまう。




この前のドレス姿も綺麗だと思ったが、日常の些細な彼女の様子も綺麗だと思うのは、俺が、彼女に惹かれているからだと思う。

俺は、自分の中にある彼女への思いに小さく笑みを浮かべ、次の練習メニューを部員達へ指示したのだった。


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