第13章 魔法な時間 パーティー会場にて
[美琴]
「美琴、何を食べる?」
赤司さんにエスコートされて、私は食事が並ぶテーブルの前にきた。
「えっと……では、サンドイッチを…。」
「それだけでいい?他にも取ろうか?」
赤司さんは白いお皿を持って、私がリクエストしたサンドイッチを盛ってくれる。
「…お父様。赤司さんに似ていて、威厳があって素敵な方ですね。」
「…美琴…あっちで食べよう。」
「?」
私は、赤司さんと一緒に、窓際に用意された椅子に腰掛けた。
「はい。少しでも、お腹に入れておいた方がいい。」
赤司さんは、私にサンドイッチの乗ったお皿を手渡してくれた。
赤司さんはいつもの様に優しいけれど、どこかピリピリしていて。
「あの…、赤司さん?」
「征十郎。ここには、赤司が2人いる。俺は征十郎。」
そういって、私の顔を覗き込む赤司さんにドキッとして、私は顔をそらした。
すると、私たちの前に立つ人影に気がついた。
「美琴。」
見上げると、
「勝お兄ちゃん?!」
私は驚いて立ち上がり、口許を覆う。
「やっぱり美琴だったか。
いつもの眼鏡はどうしたんだ?…化粧もしてるのか?」
「えっと、日本に来てはじめてのパーティーで……。
あの……おしゃれしようと思って……。」
私は、突然現れた一番上の兄、勝兄さんに、悪いことはしていないけど、気まずくて、下を向いて手を握った。
「失礼。私は、赤司征十郎です。あなたは、美琴さんの?」
スッと赤司さんは私の前に立って、勝兄さんの前に出た。
「…失礼しました。私は、西園寺勝。美琴の兄です。
今日は、父の代わりに出席させて頂きました。」
勝兄さんは改めて、赤司さんに向き直り、自己紹介を始めた。
「…美琴。別に責めてないよ。……本当に少し見ない間に、綺麗になったな。驚いたよ。」
そう言って、いつもの優しい兄が、大きな手で私の頭をポンポンと撫でてくれた。
「…勝お兄ちゃん。」
私も久しぶりの勝お兄ちゃんの手に、目を細める。