第13章 魔法な時間 パーティー会場にて
[征十郎]
美琴が、俺以外の男に頭を撫でられている。
その男が、美琴の兄だと知っていても、ムカつきが収まらない。
俺は、美琴の手を引いて、勝さんから距離をとらせた。
「あ、赤司さん?」
驚いた美琴の瞳にぶつかる。
「…征十郎さん。うちの美琴がいつもお世話になっております。」
勝さんは、俺に頭を下げた。
「いえ、私の方が美琴さんに助けられているので。」
俺は、彼女の手の感触に安心感を覚えて、少し心が落ち着く。
「征十郎様、こちらにお願いします。」
赤司家の執事が、俺を呼ぶので、俺は2人へ会釈して、美琴の耳元で、ささやいた。
「お兄さんとここにいて。俺は、一回り挨拶をしてから、帰ってくる。もし疲れたら、部屋で休んでていいから。…一人にはならないように。分かった?」
「…はい。いってらっしゃい、赤司さん。」
「次は、征十郎と呼んでくれ。じゃあ、失礼します。」
「ぁ……」
美琴と勝さんから離れて歩く。
少し振り返ると、美琴は赤い顔をして、勝さんは悔しそうな顔をして、美琴の頭を撫でていた。
俺は、ほくそ笑んで、赤司征十郎としての責務を果たしに行った。