第12章 魔法な時間 いざ出発!
[美琴]
優希に綺麗にしてもらって、車に乗り込んで、30分。
赤司さんも私も、何もしゃべらずに、静寂な時間が続く。
私は、赤司さんを横目で盗み見て、ドレスバックを持っている手が震える。
『赤司さん……何も話をしてくれない……。似合わないのかな……好みじゃない…とか…?』
頭の中で不安な気持ちが渦巻いていると、赤司さんと視線があった。
「 ! 」
「 ! 」
そして、赤司さんも驚いたのか、少し目が開いたように感じる。
「ぁ…あの、私……変ですか?」
不安な気持ちを、小声で赤司さんへ呟いてみると、赤司さんは私の手を取って、握ってくれる。
「あっ!あの…。」
「綺麗で驚いた。…いつもの美琴は可愛いと思ってるけど、……今日の美琴は、凄く綺麗だよ。」
赤司さんの目が、優しく細められるのが分かる。
私は、赤司さんからもらった言葉に胸が熱くなって、目が潤みそうになった。
「…その顔をするのは、俺の前だけだ。他の奴には見せるなよ。」
そういって、私の潤んだ目元を、指でそっと撫でて微笑んでくれる。
「……はい…。」
私は赤司さんに微笑んで、これから起こるであろう素敵な時間に思いを馳せた。