第10章 パーティーへの招待
[征十郎]
廊下が騒がしくなった。
俺は、そちらを見て席をたつ。
すると、美琴が緊張した面持ちで、うちの教室を覗こうとしていた。
「行こうか。」
「あ、赤司さん。はい。」
俺は、美琴を連れて体育館の屋上へ来た。
「うわー、凄く気持ちいですね。
…テスト期間中は、視線が下に向いていたので、久しぶりに空を見上げます。」
美琴は、空を見上げて両手を広げた。
その姿に俺は目を細めて、美琴に近づく。
「美琴。急な話で申し訳ないんだが、明後日、父が主催するパーティーがあるんだ。
俺の父は、美琴を正式に招待したいと言っている。
受けてくれるかな?」
「はい。喜んで。
あ!でも、私、こちらに来てからまだ、赤司さんのお父様に、ご挨拶していませんでした…っ。」
俺の招待を笑って受けてくれた後、ワタワタと慌て出した美琴の頭をそっと撫でた。
「大丈夫。俺が紹介する。美琴は俺に任せてくれればいい。」
そういうと頬を染めて俺を見上げてきた美琴。
俺は、美琴の頭にあった手を頬に添えて上を向かせ、唇にキスして微笑する。
「じゃ、明後日迎えにいくから。」
「……はい……。」
美琴が俺を見つめて、ボーッとした顔に笑い、手を繋ぐ。
「部活に行こう。」
彼女の手を引いて、部活に向かったのだった。