第8章 絶対帝王・洛山
試合が終わり、帰りのバスの中。
試合に出た選手達は、疲れて眠っている。
私は、優希の隣に座った。
「美琴は海外にいたから、日本の高校バスケット選手の噂とか、聞いたことないよね?」
優希は他の選手達を起こさないように、静かな声で話し始めた。
「はい。」
「全国から有望な選手を集めて、洛山高校バスケット部はあるの。
レギュラーだけじゃない、ベンチも応援席にいる部員も、全員スカウトで集まってる。」
「え…それって…。」
「洛山のレギュラーは云わば、日本の高校生プレイヤーの最高エリート集団。
まず、卒業していった先輩のポジションに、2年がまず入ってる。
中学の頃、“無冠の五将”と言われた、3年の3人。
雷獣:葉山小太郎。剛力:根武谷永吉。夜叉:実渕玲央。
そして“無冠の五将”を凌駕する“キセキの世代”、2年:赤司征十郎。」
「“キセキの世代”?」
「赤司様のことが気になるんだね。」
優希は私のリアクションに笑って、私は顔を赤くした。
「赤司征十郎。
彼は、東京にある帝光中学校出身。
伝説的強豪でね。
彼が在籍中、全中三連覇っていう、誰もなし得なかった伝説をつくったの。
彼はそこのキャプテンで、率いるレギュラーは全員10年に1人の天才達。
だから、帝光中のレギュラーは“キセキの世代”って呼ばれてたの。」
「天才……。私、知りませんでした。」
優希の話しに呆然としていると、ポンっと私の肩を叩いた。
「今から知ればいいんじゃない?私が知ってることは、教えてあげるし。」
「…うん。」
自分の知らない赤司さんの話に、まだ動揺が収まらない。