第8章 絶対帝王・洛山
= 試合 =
「……すごい…。」
私は、ストップウォッチを握りながら、試合の流れを見守る。
前半
74 対 28
第2Q終了、監督は第3Qから優希とレギュラー2人をベンチへ下げた。
「お疲れさまです。」
1年マネージャーが、下がってきた選手にタオルとドリンクを手渡す。
「はい、ありがとっ。」
優希は、タオルを頭からかぶり、ドリンクを飲み始めた。
「美琴、どう?」
「…うちは、とっても強い、ですね。」
私は、今日の試合の流れを書いた部誌を確認する。
優希だけじゃない。
レギュラー陣のシュート数と、得点数は相手校を圧倒している。
相手も決して弱い訳じゃない。
なのに、洛山の強さは、それを遥かに越えている。
あまりの強さに言葉を失っていると、優希がドリンクから口を放し、苦笑した。
「これぐらいで強いって言ってたら、男子部は最強だね。……ま、あんまり比べたことないけど。」
「え?」
「後で、もうちょっと教えてあげる。うちの男子バスケ部のこと。今は、応援してこっ!」
そういって、優希は応援の声出しをしはじめた。
私も今は、目の前の自分のチームを応援することだけに、専念した。